どんなに言い聞かせても

どんなに理解しようとしても

どうしようもないほどの想いがあるなどと


今さらながらに知った

 

 

――消えない色――

 

 

いつもと同じ日常だった
ただ、彼がいないという違いしかなく時は流れる

空が高い
彼が好んで訪れていた高台で、ただ空を見上げた
風で流れていく雲を見て滑稽だと思う

モノが動く事 とか

時が流れる事 とか

全てが滑稽だと思えた
彼の「時」があの瞬間消えてしまったように、止まってしまったように
自分の時すら止まってしまったのではないかと思える

止まってしまえば…とすら思う
そうすれば、こんな思いをせずに済んだのだ
思いと言うほど明確な物ではなかったけれど、それは確かに自分の中に淀んでいる

最後の時の顔、別れの言葉、どこまでも満足そうで
皆を助ける為に彼が選ぶであろう絶望的なまでに悲しい終わり
嫌だとは言えなかった
天に向けていた両の目に、自分の両手を映す

――――――――俺が……あの人を殺した

誰も責めはしなかった
自分で自分を責める事すら出来なかった
後悔が出来れば良かったのに
泣き叫べればよかったのに

何より先に全てが麻痺してしまった

「……綾人」
誰よりも近くにいたが故、自分は何も気付かないまま悪戯に時を過ごして
結局気付いた時には今更だった

「……ごめんな、綾人」

今の自分は、彼の為に泣く事すら出来ない
彼の為に「あるく」事も出来ない
止まってしまった「時」をどうする事も出来ないままに
自分は過ごすのだろう


だけれど


彼の死を悲しめない事だけが辛い


だからせめて
彼が望んだように、彼の意志を継いで行く体勢が整うまで
自分は笑っているフリをしよう
歩いているフリをしよう
簡単な話

「今まで通り」を演じきろう

泣けない自分からのせめてもの手向けに彼は喜びはしないだろうけど
もうそれしか出来ないから

 

いつも隣にいて
いつも笑っていて
皆のため、郷のために一生懸命で……

当り前に存在し続けた色は
存在しない今でも、消えぬまま視界を覆うのだ
それは希望のようであり
それは絶望のようでもある


視線を前へ移し歩き出す
いい加減、皆が心配しているかもしれない

なあ…俺は「全部」が終った時お前の為に泣けるか?
皆と一緒に笑えるか?

歩き始めた道の先、案の定心配して探しに来たのだろう皆の姿があった
冷えたままの心を隠すように、俺はゆるりと笑う

―――今はただ、消えぬ色に蓋をして

 

 

END

 

□□□□□□□□

突発「転生学院」小説!!!作成時間一時間(考える時間含み)…も少し考えろ私。
一応主人公×綾人で、ヨロシク!(ヨロシクしたくない)
一周目の主人公はこんな感じだった。もう綾人さんが死んだ辺りから魂抜けてるって言うか(むしろ私が抜けてたと言うか)
いやいや書いていてなかなかに楽しかったです。
書きにくくて!(主人公以外出てもいないのにな…!!)

つか発売二日目にしてネタバレ小説はいかがな物か(遠い目)

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