――戦闘中アレコレ―― 〜そもそも狂化とは一体どんな状態なのか〜


 


何の変哲も無いフリーバトルの光景が、今日も相変わらず繰り広げられていた


「スカーレルっ!状況はいかがですか〜!!」
移動力の違いのせいで、大抵は単独行動を余儀なくされているスカーレルは
目の前の敵を片付け振り返った
「あら?珍しいわねセンセ、こんな前線にまで出てくるなんて……」

「あ、ハイ、スカーレルのお手伝いがしたくて!」
「うふふ♪嬉しい事言ってくれるじゃない?でも大丈夫vもう終るわ」

はあはあと肩で息をしながらも、にっこりと笑うアティにスカーレルも嬉しそうに微笑んだ
本当に助力自体は必要なかったが
アティが近くに居るのは素直に嬉しい。

スカーレルの側にいる敵は後一匹、自分一人でも彼女を守る事はたやすいと思われた
……そんな油断があったからかもしれない
以後のフリーバトルにまで影響する、あの事件が起こったのは―――

 

 


「あの、スカーレル…召喚獣近付いてきてますけど良いんですか?」
「アレぐらいなら反撃でイケルわよ」
不安そうなアティに、スカーレルは不敵な笑みを浮かべる

一撃食らった所で、致命傷になるべくも無い……そう、そのはずだった

 


ザクっ……!!!(ダメージ17)


……+狂化


瞬間、スカーレルの持つ雰囲気ががらりと変わった
「―――くらいなさい!シャアアッ!!」
言葉通り、スカーレルは反撃のみで敵を沈黙させた
予想外の事といえば、「狂化」をくらった事ぐらいだろう
クスクスと妙に赤黒いオーラを立ち上らせながら武器を握るスカーレルは
敵の召喚獣より恐いかもしれない

「あああ、あの…スっ…スカーレル?」
おずおずと声をかけてみるアティだったが目の前の青年は気付いている様子はない
「……全員……オトしてあげるわ……」
今にも残りの敵に突っ込んでいこうとするスカーレルの服をアティは握った
「ま、待ってくださいっ!!スカーレルは守備力高くないんですから、せめてピコリットで
状態異常を回復してからっ!!」

それでやっとアティに気付いたんだろう
スカーレルはゆっくりと肩越しに振り返った
「は……」
完全に座っている目に、アティはギクリとして手を離す
そして思った
そう言えば、狂化状態になってる人にこんなに近付いたのって初めてだったかもしれな……

 

「………アティ」

ぎゅっ

 

「はえ!?」
しばし、アティの頭の中は真っ白になった
ウィルや他の子供達に抱きつかれた事はあっても
同じくらいの年代の異性に抱きしめられた事の無いアティなら当然の反応だろう
止まった思考をどうにか取り戻し
アティは腕の中から抜け出そうと、己の腕に力を込めた
しかし悲しいかな魔法系アティ。
いくら細身とは言え、スカーレルの力にかなうわけがない
「スっ!スカーレルっ!!ちょ、は、離してもらえませんか――――!!?」
「……嫌」
「いっ…嫌って……きゃああ!!!誰か―――――!!!」(パニック)


「どうしました!?アティさんっ!!」
アティの声を聞きつけたらしいヤードは、急いで駆け寄ってきた……が
二人の様子を見て驚いたように立ち止まった

「………えーと」

しばらくの間考え込んだ後、ヤードは妙に生ぬるい笑顔を浮かべた
「もう少しで敵が全て片付きますから、ほどほどにしておいてくださいね?スカーレル」

「いやああああ!!ヤードさんお願いだから優しい笑顔浮かべて立ち去らないで―――!!!
せめてスカーレルにピコリットかけてくださいいぃっ!!」
恥ずかしいのか涙目で訴えるアティに、ヤードは再度立ち止まる

「ピコリット…?え?もしかして状態異常なんですか?」
「それ以外の何に見えるって言うんですか―――!!」

「……あの…いや、まあ……てっきり……」
「てっきり何なんですかっ!!」

助けてと訴え続けるアティに、ヤードは溜息をついた
「やっとスカーレルも、少しは積極的になったと思ったのに……」
「何の話ですか――――――!!!?」(必死)

 

ヤードが肩をすくめ、二人に近付こうとした時
さらに気持ちよく事態を混乱させるであろう声が響いた(しかも良くとおる)

「あ――!!!!スカーレル、先生を抱きしめてる―――――――っ!?」
「ソノラー!!そんな大声で言わないで――――!!!」(恥)
アティも、もちろんの事大声で返した
よって、その事態は
フリーバトルで散らばっていたオールメンツに知れ渡る結果となった

 

「なっ!?スカーレル何してやがるっ!!?」
ガクンとスカーレルの身体が揺れたと同時に腕の力がゆるみ、アティは急いで抜け出した
どうやら、騒ぎに気付いたカイルがスカーレルの胸倉を掴んだためらしい
相変わらず、スカーレルの目は座っている

「あ、あの、カイルさんっ!スカーレル、今、「狂化」状態ですから気を付けないと…!!」
アティが焦って口にしたが、時すでに遅し

カイルの目の前にいたスカーレルの姿は跡形もなく消えていた
「なっ!?どこに…!!?」
「隙だらけよ……」

 

 

背後。(怖)

ザク。ヒュン…!!(消えた)

 

「きゃ――――!!!!カイルさ―――んっ!!!」(滝汗)
(狂化+バックアタック+クリティカルは凶悪ですな)

「アティ…」

ぎゅ〜

「あうあうあうあう〜〜〜っ!!」

 


「……こうなったら召喚術でもぶつけて、カイルの二の舞になってもらうっていうのはどうかな?」
そう言いながらナックルキティを取り出すウィルを
ソノラは銃のえでで殴る事で沈黙させた

「あんた、ジュラフィム(状態異常回復)もってんじゃない」

そして、ヤードとファルゼンの方を見た
「そもそも、どっちかがピコリット使えば済む話じゃないの」

「……そうだったんですけどね……」
ソノラさんが大声出したせいで被害が拡大したんですって……
と思いつつも口にする勇気はなく
ヤードはピコリットのサモナイト石を取り出した

 

 

間。

 

 


「…………えーっと…という事はアタシずっとセンセを……」
「抱きしめてましたね。そりゃあシッカリと」
淡々としたヤードの言葉にスカーレルは深く溜息をつき、傍らに立つアティを情けない表情で見た
「ごめんなさいね……センセ」
「き、気にしてませんから」


「アティったら、嫌だったら嫌だったって言っても良いんじゃないの?」
アルディラの言葉に、アティはほんの少しだけ頬を赤らめた
「あ…う……す、少しビックリしましたけど嫌だって事は本当に…無かったですから」
きょとんとするスカーレルを除いた
そこにいた全員が、深く溜息をついたりした

「兄貴いなくてよかったかも……」
と、ソノラが呟いたのはご愛嬌(ひでえ)

 


強化攻撃をしかける連中が
遠距離攻撃で仕留められるようになったのは言うまでもない

 

 

 

END

 

□□□□□□□

途中まで実話です(全部実話だったら怖いなオイ)
アティを真後ろに置いてる時に、スカーレルが気持ちよく狂化にかかってくれた
のをみて、作ってしまった話です
そこのシーンで、この話を考えた時
妹に熱く語ったのですが、こんな事をいわれました

「お姉ちゃん…春だね」

「は?今は夏じゃ……」

「お姉ちゃんの頭の中」

……常春だとも(開き直り)

私の初プレイのレギュラーが丸分かりのお話でした(笑)
でも狂化にかかると、実際はどうなるんですかねえ

ここまで読んで頂いてありがとうございました!!!(^^)

 

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