突然降り出した雨は、さあさあと足元を濡らしていた

 

―トオリアメ―

 

さっきまで晴れてたのに……
アティは恨みがましい目を空に向けた
船の修理や学校、やることが多く、ここ最近滅多に顔を合わせなかった
スカーレルとの久々の時間だったのに…と

「見事に降られちゃったわねぇ…」
「うう、申し訳ないです」

大きな木の一本に背を預けていたスカーレルは謝るアティに笑って手を振った
「あら、先生が謝る必要はないわよv自然現象なんだから仕方ないじゃない?それに…」
自分の足元に視線を送り
そこに置いてある荷物を見つめ、スカーレルは肩をすくめる
「一休みするには、ちょうど良いわ」

雨宿りをしている木の下。
そうですね、と笑っていたアティは「自然現象だから」というその言葉を
頭の中ではんすうし
スカーレルに気付かれないように小さく溜息をついた

実はそうも言えないんですよね、と言う言葉の代わりに――――

果樹園から食材を運ぶ、という今回の作業は決して大変なものではなく
一人でこなす事も出来る量だった
だというのにアティは手伝ってほしいと頼んだのだ
行こうと思った時に運良く(悪くとは言わない)スカーレルと鉢合わせしたからって
言うのは言い訳ですよね……
雨によって下がり始めた温度とまるで比例するかのように気分の方も落ち込んでいくような気がした
自分がもしも誘わなければ
こうやって、雨に濡れる事もなかったんだろうし。
そもそも荷物の大半を持たせてるようなものですし。
もしかしたら予定とかがあったかもしれないし。

「………はぁ」

 

どんよりと重い空気を背負い始めたアティに、スカーレルはそれこそ本当に気付かれないように
溜息をついた(無論、アティの溜息には気付いている)
たぶん手伝わせた事で落ち込んでいるのだろう
全く……どうしてあんな中途半端な時間に廊下で出逢ったと思っいるのやら

「アティ?」
「は、はいっ!!」
「少し寒くな〜い?」

ニッコリと笑うスカーレルの真意を測りかねたのか
アティは曖昧にうなずく
雨のせいか、少しだけ肌寒くはあった

「貸してあげよっか♪」
フワリと、いつも身に付けている黒いえりまき?(何なんだろう?)をスカーレルは揺らした
「え!?あ、あの、でも悪いですから」
「遠慮しなくても良いのに……あ、じゃあ半分だけwね♪」
スカーレルはアティの隣まで歩いてくると、その小さな肩を軽く抱いた
「!?すっ…スカー……っ」
「なぁに?」
「ああああの…手っ…肩っ…!!」
顔を真っ赤にしてうつむいてしまったアティを見ながら、スカーレルは楽しそうに笑う
このくらいしておけば、余計な考えを追い出す事は出来たかしら…と思いながら
もちろんの事理由はそれだけじゃないけど


「はいv貸してあげるわ」
手の代わりに肩に残ったのは、黒い、もこもことした物体(物体て…)
「あ、柔らかくて気持ちいいーv」
「でしょ?アタシのお気に入りなんだもの」
一時はもの珍しそうに触っていたアティだったが
静かになり、やがて頬を赤らめながら上目使いでスカーレルを見た
「あの…」
「ん?」
「距離が近すぎると…思うんですけど……」
「だって半分だけ貸してあげるって言ったでしょ?」
一つのものを二人で使おうと思えば、それ相応に距離が近くなる事は至極当然のことだと思われた

「…………確かにそうでした」

 

 

 

さあさあと、先程からずっと何の変化さえ見せない景色
地に触れたはしから地へと飲み込まれるせいだろうか、雨が降っていると言うのに
どこか乾燥しているような気がした
会話も途切れて、ぼんやりと雨に霞む緑を見ていた

「気にしないでイイわ」
「…え?」
思い出したようにポツリとスカーレルは呟く

「気にしてるんでしょ?アタシを付き合わせたコト」
ほんの少しだけ目を細めて困ったように微笑むスカーレルにアティは何も言えないまま俯く
無言を肯定だと受け取ったのだろう、隣に立つ青年は言葉を続けた
「あの時ね、センセに会ったのって偶然じゃないのよ。おつかいに行くって小耳に挟んでねv
誘われなくても一緒に行くつもりだったんだから」

ま、誘われたのは嬉しかったんだけど♪

うふふと嬉しそうに笑うスカーレルに、アティはおずおずと顔を持ち上げる
「そうだった…んですか?」
「そうよw」
「良かった……」
心の底からホッとしたのか、胸に両手をあて、はーと大きく溜息をついた
肩の荷が下りた…とでも言いたそうなほどに

「でも、そうなるとスカーレル暇だったんですか?」
「んー…ま・ね」
「ああ、そうだったんですかv
カイルさんがとても忙しそうにしていたからテッキリ忙しいものかと…」
「………うふふ、ああ見えて容量が悪いのよw」
会話の流れを変えたいらしいスカーレルは、視線を横に流す――――と。


「あら…晴れたみたいよ、センセv」
いつの間にだろう、途切れす降っていた雨は消えてしまっていた
「あ、本当ですね!通り雨だったんですかねー………」
てててっと木陰の外に出てアティは、んーっと伸びをした
太陽も姿を現した所から考えても、もう雨は降らないだろう

「じゃあ、行きましょうか?」
「はい…あ!見てください!スカーレル!!虹が出てますよ!!!」
見上げた空。大きくはなかったけれど細い虹は綺麗なアーチを描き、空を彩っていた

「うわあ…!本当に久しぶりに見ましたvv綺麗…」
浮かぶのは、スカーレルの一番好きな彼女の一番の笑顔
ただ、それを見ているだけで幸せだと思える
「ホント…綺麗よね……」
「ええ!七色とも数えられますもんね♪」
「……虹の話じゃないわ」
「はい?」
じゃあ何でしょう?と首を傾げる仕草に噴出しそうになりながら
スカーレルは荷物を持ち直し歩き出した

 

END


□□□□□□
サモンナイト3のスカーレル×アティ小説〜!!
夢に出るくらい書きたかったんです…!!むしろ寝ても覚めてもですけど!!!
あああ、でも書けてない〜書けてない〜スカーさんはもっと男前で、アティはおとぼけ(オイ)
なーのにー!!!というか、他のメンツも少しは書いたらどうだ、自分。
あ、ちなみにスカーさんは、自分の仕事を、上手い具合にカイルに擦り付けてる方向で!!
アティとのデートなら、それくらいは余裕でやってのけるでしょう

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