塗り潰されたような白、無色に近い黒

纏うは紅、彩るは紫紺


遠く遠く交わされたもの

 

―遠き日の―


バヂリと火の粉が爆ぜる音を聞いた、放たれた炎は舐めるように辺りを覆う
熱に追われた鼠が姿を現すのを男は待っていた
月すら見えぬ漆黒の夜
白き装束は一重に冷徹、まとう空気は夜を裂く炎の温度をすら介入を許さない
神々に刃向かうものの殲滅
それのみが
表情すら浮かばぬ男の中にはあった

生物であると誰が思うだろう
隣人であると誰が思い出すだろう
御使いの名を持つ人形が「誰」であったか
痛々しくも
今は一人としてそれには気付かない

男の手に握られているのは細身の槍
紫紺の輝きを帯びるそれは、人間の手で造り出せるものではない
「……」
風が、鳴いた
紅き炎が染み付いた闇に紫の光が走る
一瞬というのが生暖かいほどのスピードで、男は槍を薙いだ
異質な存在に手加減などするはずもなく


「………」
「へえ、よく止めたね」
その殺意が本物だと理解した上で
気配すら感じさせず背後まで近づいていた男は笑った
首筋にあてがわれた刃を汚す血は少量
同じ御使いであると槍を持つ男が気付かなければ、もしくは微かにでも判断が遅れれば彼は死んでいた
なのに男は笑う
「初めまして」
「……何者だ」
「あれ?聞いてないかな。神々のご意向により組ませてもらう事になってるんだけど」
柔和に笑い
髪と同色の薄灰色の瞳を細める
反対に深い藍色に浮かぶ感情はなく
「了解した」
端的に答え槍を下ろす
人数が増えようが増えまいが、行う事は変わらない

「私はカイン、よろしく頼むよ」
差し出された手は取らぬまま、視線を先程までと同じ場所へと戻す
少しずつ形を無くしていく家々に興味はなかったが
背後に立つ青年にこそ欠片の興味もありはしない
「で、君の名は?」
「……」
「……」
「……」
「……」
しばしの沈黙
待つ事が苦ではないのか、薄く笑ったままカインは佇む
吐き出された息
根負けをしたと言うよりは
こんな事象に時間を取りたくはないと、先に諦めたのが彼だった
「ヴィティス、だ」
「うん、ありがとうv」
知ってたけどねと、小声で付け加えられた台詞は聞かなかったことにした
相手にする必要はない
この時、この場だけでの繋がりなのだから

数歩
カインと名乗った青年はヴィティスより前に出る
ヴィティスとは対照的である漆黒の衣服は、壊され燃やされ殺しつくす惨劇を映さない
全く何も感じないと言う意味では
二人の青年は同意だった
口元には笑みを浮かべ
辺りを包む朱を押し固めたような剣を作り出した
「くるよ」
何が、と問ういとまも必要もない
潜んでいた者達が耐え切れぬとばかりに上げた悲鳴か
女子供を逃がすために、命も厭わぬ者達が上げた怒号かが
耳障りに響きわたる

向かってくる者と逃げる者
殲滅を念頭に置くヴィティスの判断は早かった
逃走する者から仕留めるべきだろう
だが
「ヴィティス」
それを行動に移す半瞬前、目の前に立つ青年が咎めるようにレクスをヴィティスに向けた
「逃げる人間は無視しなよ、どうせ何も出来やしない」
「――…神命は殲滅だ」
向かってくる人間を軽くいなしながらカインはそうだねと頷く
同じ神命を受けているはずである彼は
向かってくる人間ですら加減をしながら相手をしている様だった
たった一人で複数の敵と渡り合い
その状態でヴィティスと会話出来るほどの絶対的な実力差が存在するはずだというのに、だ

「でもね、エテリアがそれを望まない」

息をひそめ
事の成り行きをおそるおそる見守る光たち
ヴィティスには存在は感じられても
数が少なすぎるエテリアの意思は読み取れない
それが本当なのか、そうではないのか分からなければ
何故カインがそんな事を言い出すのかすら、ヴィティスには分からなかった
「…望まない?」
理解の及ばぬ事を
ただ切り捨てる事を好まない彼は
無言のまま疑問を復唱する

何故、エテリアが、人間を庇うのか

分からないし分かる必要は無い
だが、確かにそれは明確な意思として引っ掛かった
そう思案した時間は長くなかったはずだ

事実
赤々と燃え立ち、今にも崩れ落ちそうな家々は形を留め存在していたし
カインの握るレクスにこびり付いた血が生々しく炎を映していた
「……」
「いやあ終わっちゃったよ、ごめんね」
全く悪びれる様子も無くカインは笑い、無表情のままのヴィティスの肩を宥めるように叩く
倒れ付す人間の数は思っていたよりも少なかった
温度を持ち
それでいながら不確かに
揺られる炎の中冷えていくそれら
「武器を向けた人間ですら見逃したのか」
「うん?ああ、力の無い女子供を逃がすためだけの時間稼ぎだったみたいだよ」
「……」
問うた意味とは違う答え
だが追求するのも無駄だと思えた
恐らくそんな事で答えを提示するタイプの人物ではないだろう
行動を共にして数分
そんなどうでもいい事だけは、どうしようもなく理解できた
ついと
燃えカスとなった景色に背を向ける
「どこに行くんだい?」
「―――……神命は完了した。すでにここに存在する理由はない」
会話は続けられず
掻き消えるように、寡黙な青年は消え去った


「……へえ」
転移を使えるのか
その思いを感嘆と共に漏らし、カインは空を仰ぐ

エテリアが悲しいと泣いている

道理で神々が彼を気にするわけだ、異質なまでに交感能力が高い自分だからこそ苦も無く出来るそれ
他の御使いが行使したのを見たのは初めての事

エテリアが痛いと泣いている

真面目…と言うよりは無機質、それでも彼の本質は別にある
そうでなければ気配を消し背後から近づいた時点で、彼のレクスにより自分の首は落ちていたし
もっと多くの人間が、ここで死んだだろう
「エテリアは……望んでいない」
その言葉を気に留めてくれるとは思わなかった
カインにしてみれば紛れも無い事実
だが、本来なら御使いの事実は神々によってのみ確定する
だから悩む必要なんて無い
躊躇う必要なんて無い
何故エテリアが望まないのか
分からないままに零すカインの言葉には、一欠けらの説得力もありはしないはずなのだから


ゆがむ ゆがむ

音も無く吸い上げられ、奪われ、飲み込まれ
在ることすら許されず
ただひたすらに力に形を変えられていく
それはエテリアだろう
……いや

カテナであったものかもしれない


「やあ奇遇だね」
柔和な笑顔はどこまでも白々しく
それが偶然の名が付くものではないと告げていた
いやそもそもが
「人の部屋の前に佇んでいれば、奇遇でも何でも無いだろう」
当然の結果だとヴィティスが指摘をすれば、わざとらしくカインは声をたてて笑う
「あれ?ここって君の部屋なんだ?へえ初耳。どうかな、お茶でも飲んで行くかい?」
「君が立ち去るのならば喜んでそうしよう」
「やだなあ、ご馳走になるに決まってるじゃない」

軽度の眩暈と頭痛をやり過ごし、ヴィティスは冷えた色をした双眸を細めた
睨んだ、と言っても過言ではないだろう
その全てを受け止めすらせずにカインは笑ったまま首を傾げる
「どうかした?」
「君の思考を思案していた」
神々の意向だと言われたのは数日前のあの時だけだったはず
それ以上の関わりは意味も意義もあるはずがない
「うーん…」
困った様子で考え込む
何をやらせてもわざとらしく白々しい仕草に見えるのにはいっそ感嘆すら覚える
そんな仕草のまま
「君が理解できるように言うとね、まだ継続してるんだよ」
カインは用意していただろう答えを緩やかに紡いだ
何を、とは言わない
「……」
「そういう事v」
苦笑すら浮かべず、聞き返さない事を予想したそのままに
全てを見透かすような笑みを浮かべカインと名乗る男は笑った

奇妙なものだ
本来ならば見透かされるという行為は不快でしかないというのに、この男はその手のモノを感じさせない
性格という点では決して相容れる事は無いと確信するヴィティスだが
その点においてのみ好感を覚えた
いや
好感というのは正しくない、それは興味によく似ている
「ならば好きにするといい」
言葉ではそう言いながら
部屋に招き入れるつもりはなかった
向かいあう形で壁に背を預け目を閉じる
神命が遂行されている時とは違い時間はあるのだから、ヴィティスには諦める必要も根負けする理由もない
そんなヴィティスの態度が面白かったのか
屈託無くカインは笑い
「神々の事を抜きにして、私個人としても好きだなあ君の事」
酷く穏やかにそう言った
「それは心外だ」
カインが素直に示した好意に、ヴィティスもある意味では酷く素直な感想を漏らす
認めることは無いのだろうが全く違う二人は
その実よく似ていた

通るものは無く、二人には先を除いて会話は無い
壁に寄り掛かりながら
ただただ相手の出方を待つ
呼吸音が差し挟まれるのが無粋なほど静かだった
お互いに瞳は閉じている
動かないと分かっている相手を注視する意味は無いし
無音は音楽として楽しむには味気ないものの、決して不快ではなかったのだから
「……」
「……」
「……」
「……」
もし邪魔が入らなければ二人は陽光が姿を隠したとて動かなかったろう
実現しなかった今、それは仮定でしかなかったが

差し挟まれたのは乱暴な足音
そうして気配
双方が目を開きそちらに視線を向けた
「カイン!ここに居たのかよ、探したぜ」
粗野な雰囲気を持つ鮮やかな黄色の髪を持つ青年と、ひどく凛々しい隻眼の女性
カインはその二人に人好きする笑顔を向け
「やあ、レオン、アルミラ」
まるで友人を紹介するように、ヴィティスに手を向けた
「彼がヴィティスだよ」
「ん?」
「ほう…?」
興味深そうな眼差しを気にした風も無く
先程と変わらず壁に背を預けたまま、ヴィティスは浅く息を吐く

いやな事を思い出した、もしくは思い当たった
そんな仕草を隠そうともせず
「OZ、か」
面倒そうにカインを見やる

カイン、アルミラ、レオン
遠く聞き知るそれらは余りに名高い
本来なら、カインの名を聞いた時点で思い当たるべきだった
神命で単独行動を許される御使いなど一握りだ
その中でも最強である三人の精鋭
神々の祝福を受け、他の御使いとは一線をひく実力者

最初からそう言えば良かったろうに
そうしたならば、この不毛なやり取りは成立しなかった
一般の御使いがOZに逆らうわけがない
ましてやOZのカインと言えば、御使いの長などと呼ばれる者なのだから
正体を明かさず
こちらの態度を観察していたのだとするならば
「趣味の悪い男だな、君は」
「ああうん、よく言われるかな。大丈夫、大丈夫!分かってやってるから治す余地はあるよ」
にこやかな反応は相変わらず
「治すつもりが無い者に余地などあるものか」
「あはー、面白いなあヴィティスは」
それでもどこか嬉しそうだった

「――まあ、からかったのは悪かったね」
壁から背を離し
真直ぐに立つカインは一瞬だけ笑顔を苦笑に変えた
「そうでもしないと、この二人以外とはまともに会話出来ないからさ」
その言葉だけは真実だと感じた己にヴィティスは小さく眉を寄せる
穏やかで人好きする笑みを絶やさぬ青年
恐らく友は多いのだろう、少なくとも己よりは
そう無意識に思っていた
だが……

――御使いの長――
立場がもたらす影響が少ないわけが無い
たった今、OZだと知っていたなら不毛なやり取りは無かったのだと
誰であろう自分が思ったのだから
「――――」
何を言おうと思ったのか

口にしたなら確認も出来たろうに、それは絶対的な声によって遮られた
空気を振動させるなどという間接的な方法をとらず
直接的に意識に介入する声
「珍しいな、このような時間に召集か」
「緊急らしいね…私達は先に行くよ二人とも」
声と同時か、それとも先か
存在の欠片も残さず
カインとヴィティスは、ほぼ同時に姿を消した

 

本来なら一刻はかかる距離を無いものとし二人が降り立ったのは岩場ばかりの荒野
空気が酷く乾いていた
太陽が姿を消したのはつい先程、それでも刻々と景色は色を沈めていく
その暗闇に染み込むように蠢く無数の『何か』
二つの影は無言のまま。その手にある物を握り直した

再三響き渡る神命は唯一つ、これら全てを抹消せよ

甲高く、金属を擦り合わせるような音が一面に響いている
それが『何か』の声であるのだと二人が気付いたのは囲まれてからだ
生物であると理解する事すら許容しがたく、その音は声にしては無機質過ぎるのだから仕方ないのかもしれない
それらが何なのか正確には知る術はない
だが敵だという事は寸分の抵抗も無く理解に染み込む
「嫌な音だ」
「同感」
その場には
二人と、それらしか居ない
今だ誰一人ここに到達していないのかそれとも―――
可能性を考えようとして、止めた
ここに生存する味方は二名のみ……その事実は変わらないのだから
敵は無数
数える気すら起きないほどの濃密な黒

「さて……始めようか」
だがカインの声にはさりとて焦りはなく
「OZの名において、神命を執行する…!」
彼は足を踏み出した
それが合図
遠巻きに二人を囲みキイキイと声を上げていた黒が、一気に押し寄せ
宵闇に淡く輝く赤と紫を飲み込もうと不気味さすら感じない音を上げる
しかし
それは余りにも芸が無い
振るう赤色に黒は切り裂かれ、流れる紫紺に弾かれた
他の御使いならいざ知らず、ただ包囲を完成させただけで負けてやるほど彼らは弱くは無い

崩れ落ちた黒い塊の微かな切れ目にカインは躊躇いなく身を低く飛び込む
獲物からの接近に
ざむと左右上空全てより覆いかぶさる全て
まるで菓子に群がる蟻のよう
くつと彼は笑う
己はそれほどに甘くはない
「はあぁっ!」
片足を軸に身体を反転させる
同時に頭上振りかぶっていたレクスを遠心力そのままに叩きつけるよう薙いだ
レクスを覆う朱の光に触れた全ては蒸発するように消える
だが今だ粘つくように覆う黒の気配に飛びのけば、すぐに先程と同数かそれ以上の黒が溢れ出た
個体は虫のように見えなくもないが
それにしたって虫のほうが色んな意味で可愛げがある

レクスを無造作に振るうだけで弾かれ消える黒
そして溢れるそれ以上の闇
甲高い音だけがキイキイと鼓膜を引っ掻いている
一匹一匹の戦闘能力は決して高くはない
多くとも全力を出せるのならば、それほど労せずして殲滅出来るだろう
……だけど

ふと視界の端に紫の閃光が走る
後方からにじり寄る黒を切り裂き、油断はせぬままヴィティスは呟いた
「妙だ」
淀みなく槍を振るい黒との間合いをとりつつ的確にそれらを消し去っていく
それでも彼は微かに焦っていた
「君も気付いたかい?」
互いに背を預け、今だ増え続ける黒を見やる
「エテリアが応えない」
「応えない…ってよりは近寄れないんだよ、こいつら普通じゃない」
「……どういう事だ」
「形があるけれどこれは……っと…」
会話する間も途切れなく迫る黒をなぎ払い距離をとる
「今は悠長に話をしてる場合じゃないね、とりあえず装甲は使えないって事」
「…了解した」
多数を相手にするには致命的に守備と攻撃が欠けている
それにうろたえるでもなくカインは結論付け、ヴィティスはそれを認めた
こちらが疲労する前に相手を潰しきらなくては飲まれる
比喩でもなんでもなく黒に飲まれるのだ

「七割くらいなら受け持つけど?」
不利だとしても軽口を忘れないのが彼故なのか
ヴィティスは微かに口の端を弓なりに持ち上げる
「なら任せよう」
背中越し、一度だけカインを見やった
「だが手違いでそれが逆になっても構わないかね?」
「あはは!上等!!」
場違いなほど楽しげな声
背を預ける者としてこれ以上はないと、二人は振り返る事すら無かった

どれほどの時間が経ったのだろう
五分なのか、一刻がすでに経っているのか

いつの間にか辺りは静かになっていた
夜の天幕は完全に下り、広がるは闇だが黒は消えうせて
腕を持ち上げようとして動かなかった
そんな体力はもとより残っていないのだろう、呼吸をし生きる事のみで身体は精一杯だと悲鳴を上げた
分かっていながら
ヴィティスは緩慢な動作で立ち上がる
ほとんど汚れた事のない白い制服は所々血が滲み、これ以上なく汚れていた
一歩足を進めるだけでぐら付く身体を引きずり彼は歩き
仰向けに倒れるカインを見下ろした
「問題ないか」
ヴィティス以上に傷を負ったはずの彼は、何時とも同じ笑みを浮かべる
「命に別状が無い程度には。余裕だねえヴィティス、立てるんだ」
「当然だろう、君が宣言通り七割を相手にしたのだから」
薄灰色の瞳を細め笑う
「あの状況で分かったなら充分凄いよ、さすがOZの次代のリーダーを期待されるだけはあるって事かな」
だからこそ
共にしばしの行動を神々に求められた
実力、判断力、様々な事において見極めよと望まれた
「……買い被りだ」
「そう?まあ私が感じたように報告するだけだけど
……あ、でももう少し笑った方が良いよね取りあえずはさ」
余計な世話だと不快そうに見下ろすヴィティスに、カインは声をたてて笑う
相手にするのも立っているのも億劫で
カインの隣に座り息を吐く

話をそらす事を決めて、ヴィティスは戦いながら付きまとい続けた疑問を口にした
「あれは何者だ」
「……」
笑うのを止め、しばし考えて
「知る必要は無いんじゃないかな、少なくとも私達には」
OZとしてカインは答えた
「それでは聞き方を変えよう、君はどう感じた」
「あ。ずるい」
答えを待てば、大して悔しくもなさそうにカインは視線を空に投げる
「悪意だね。苦痛、悲しみ、怒りその全てで全てを壊す意思……だけど目当ては神々じゃないかな」
「そうか、神々が抹消を望むわけだ」
「疑わないんだ?」
小さくヴィティスは肩をすくめた
「君の考えを聞いた私が、君の考えを疑問視する道理がどこにある」
笑いながら、ゆるりとカインは身体を起こした
「ほんと…面白いなあ、ヴィティスは」
それだけでも辛いんだろう
片膝に身体を預け、ぐったりと座り込む

見極めは充分な形で終わった
神命が達成された今
多数存在する御使いの中で、二人が会うことは無いだろう
それは恐らくお互いにとっての確信

「あのさヴィ…」
「一つ言いたかった事を忘れていた」
カインの言葉を遮り、ヴィティスは彼が御使いの長であると知った時言おうと思った言葉を口にした
その時とは違い
確信し、己の意思で
「また私の部屋の前に来るといい」
「は?」
だがその内容はカインを持ってしても意味がよく分からなかった
冗談を言うようにも見えないし、まだろっこしい言い回しも好まなそうなヴィティスが言ったのだから
そのままの意味で受け取るのが正しいのだろうが
「えーと…お茶をご馳走してくれるのかな?」
「いいや」
はい?と首を傾げる様が可笑しかったのか
それともこれから言おうとする言葉が、らしくなくて可笑しかったのか
静かにヴィティスは微笑する

「先程は邪魔が入っただろう?仕切り直しといこう……カイン」
「………え」

久しぶりに虚を突かれて
久しぶりにあの二人以外から己の名を聞いて
カインにしてみれば何となく照れくさくて
それでも無視をするのは勿体無さ過ぎて

ええと、と片方の手を持ち上げた
「自慢じゃないけど気は長い方だから……根比べなら負けないよ」
応えるようにヴィティスも片手を差し出して
「こちらの台詞だ」
お互いボロボロで力がまるで入らない握手をし


これから、よろしく


そう無言の内に笑いあった

 

 

END

 

□□□□□□□□□

はい!そういうわけでカインとヴィティスのお友達になるまでのお話でした!!
すっごい今更で忘れられてそうな気がするんですが8000ヒットを踏まれたそらに捧げます〜
……思った以上に長くなったのは何故だろう
いやでも、これでもえらく削ったんですよ、当初ならレオンとアルミラの会話が入ったり
カミガリとの戦闘も長々と書く予定で……
あ、カインとヴィティスが戦ってたのはカミガリのちっこい非常に邪魔くさかったあれです
一応はぐれたようなのが上手い事神々を見つけ出して溢れてきたところを殲滅って事で(無理矢理)
あの敵は個人的に嫌いです
人が一生懸命ゲージを上げようとしているのに、大事な大型の敵を倒してきますから

私はカインとヴィティスは御使いの時出会って親友になった派なので
こんな感じのお話に落ち着きました〜
何だかんだで気が合うといい
そして部屋に入れる入れないの攻防の結果、ヴィティスが折れて部屋でお茶をご馳走するといいよ(笑)

それでは申告リクエストありがとう!そら!受け取ってくださいなv


2007 10、19

 


 

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