おごそかに、鐘が響く。
ある夏の日。目の覚めるような青空のもと、それは執り行われた。
「センセ〜おめでと〜」
「ありがとう、ソノラ」
「ううっ、スカーレル…おめでとうございます」
「やあねぇヤード、あんたが泣いてどうすんのよ」
集いの泉で行われた二人の結婚式。
アティとスカーレルを祝福しようと当日、多くの住民たちが泉に集まった。
赤に彩られたヴァージンロード。
歩み出す二人。

その光景に怨念まみれの視線を向ける船長が一人。
(ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
 ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、ふっふっふのふ〜!!)
血管浮き出る額に歪んだ口元。
(まだだ!まだ終わっちゃいねぇ!!ハネムーンが残ってるっ!!)

おごそかに、鐘が響く。
それは幸せ絶頂の二人へ贈る、受難の開幕ベルだった。




海賊カイル一家の掟 〜こういう大人になっちゃイケない編〜




今回のハネムーンはアティを育ててくれた村の人たちへの挨拶も兼ねて、
彼女の村へ行くことになっている。
交通手段は海賊船。
カイルとはこれまでアティを巡りいろいろと対立してきたが、
今回ハネムーンを迎えるに当たってカイルが自ら買って出てくれたのだ。
今までのことはどうあれ、その気持ちを嬉しく思い承諾したのだった。
「ねぇカイル、そろそろ出発し…」
「どぉうぉりゃああぁぁぁっ!!!」
天高く船のイカリが舞った。
…そばにいたヤードを引っかけて。
「えっ?カ、カイルさん、ちょ…」
ドボーン!!
「すまねぇな、スカーレル。今からこの船は点検作業のため一週間停泊だ」
「……アンタ、最初っから邪魔するのが目的で…」
「おうともよ!お前にアティはわたさねぇ!!」

火蓋は切って落とされた。

「ああっ!ヤードが浮かんでこないよ!!」
「ヤードさぁぁん!」
水面でかすかにはじける水泡だけが、彼の生存を語っていた。

二十分後。
「ぜーっ、ぜーっ…」
結局、イカリを巻き取れば良いのだという単純明快な結論に
ようやくたどり着いたアティとソノラによって彼は救出された。
「ぜーっ、ぜーっ…」
「大丈夫ですかヤードさん?」
大きく肩で息をするヤードにアティはおそるおそる尋ねる。
「…………パ」
「ぱ?」
「パトラッシュと空へ昇るところでした…」
手遅れのようだ。
プラーマでの治療をあきらめたアティが辺りを見まわすと、
後頭部に巨大なタンコブをこさえたカイルが嫌々、舵を握っていた。
どうもスカーレルにバックアタックをくらったらしい。
その隣で満足げなスカーレルが印象的だった。
「さ、カイル。センセの故郷に出発してもらうわよ」
「わーったよ…でもよ、まだ具体的な場所は聞いてねーぞ?」
「そうなの?」
「あ!ごめんなさいカイルさん!」
慌てて駆け寄りつつ、服のポケットから地図を取り出すアティ。
どこにあるかは聞かないよーに。
カイルの目の前にそれを広げ、
「ここです、ここ!」
と大きく赤でマーキングする。
「…ここから北東ってところかしら」
「ふむ、まぁ、仕方ない…い、い、行く」
「待ってください!!」
カイルをさえぎる声が一つ。
凛と響くその声の持ち主はウィル・マルティーニその人であった。
「僕との約束が先のはずでしょう!?
 それとも僕に頭を下げてまで言ったあの言葉は偽りだったとでも言うのですか!!」
「ウィル君……」
その勢いに、そこにいた全員が言葉を失った。



……スカーレルを除いては。
(とてつもなく嫌な予感がするわ!!)

「…その通りだウィル」
カイルが重い口を開いた。
「オレとしたことがこんな大事なことを忘れちまうとはな……」
「え、ちょっとアニキ。先生達のおめでたい日だよ?工船都市には帰りに寄ればいいじゃ…」
「ソノラッ!!」
「は、はいっ!」
カイルの怒声に凍りつくソノラ。兄に悪気はないのだろうがやはり恐いものだ。
「海賊カイル一家の掟はなんだ!言ってみろ!!」
「は、はい!海賊カイル一家の掟!約束はなにがナンデモ守るべし!」
「その通りだ!約束に重いも軽いもない!交わした約束は必ず守るのが俺達の流儀だ!
 よってカイル一家の元締めであるこのオレが今ここに宣言する!工船都市に向けて出発だ!!」
「おーっ!……ってアレ?」
「ソノラ!?なにやってんのよ!」
「ごめんスカーレル!アタシの中の海賊の血が!血がぁ!」
条件反射とは恐ろしい。長期にわたる海賊暮らしが
船長絶対王政を彼女の体の中に染み込ませていた。
「アンタいつから絶対服従三等兵に成り下がったのよ!第一血って、アンタ拾われっ子でしょ!?」
「ス、スカーレル…もうそのくらいで」
いつになく興奮するスカーレルが、さすがに心配になったのか。
ああ、しかし猛った蛇は牙を引っ込めない。
「何言ってるのよセンセ!せっかくのハネムーンが台無しにされようとしてるのよ!?
 妥協なんてしてらんないわ!」
「台無しだなんて、そんな…」
「いい!?あの二人の言い分は確かにもっともだわ。
 でもね、それは約束を守ることが目的の場合に限られるわ!
 カイルとウィルの目的はアタシ達の邪魔をすることなのよ。黙ってなんていられないわ!」
「?どうしてカイルさんとウィル君が私達の邪魔をするんです?」
「…………………」

言葉が、出なかった。

ただ、アティの肩に手を乗せ、精一杯の言葉を紡ぐ。
「そうよねアティ。あなたは私の夢、おひさまだもの。
 そういうキャラに天然は宿命っていうのはわかってたのよ…
 そういうとこもひっくるめて好きなんだけど、あー、もう、どうしたものかしら……」
そう言ってさめざめと涙を流すスカーレル。涙とともに流れ出たのは悲しさか、やるせなさか…
「?????」
アティはただ小首を傾げるばかりだった。

そんな彼等の陰でもう一つの会話が進行していた。
「ふ、やるなウィル…さっきは助かったぜ」
「礼には及びませんよ。僕もあの二人の結婚には反対の立場ですし…
 まぁ、あなたの見方のつもりもありませんが…」
「今は共通の敵を倒すために」
「ええ、僕とあなたの利害は一致していますしね」
スカアティ撲滅委員会が発足していた。


「…………はっ!?」
ひとしきり泣いた後で、スカーレルは重大な事実に気づいた。
「ちょっとカイル!何事もなかったように舵を握ってるんじゃないわよ!」
「ちっ!もう気づきやがった!」
「工船都市に向かってるんじゃないでしょうね!?」
「その、まさかですよ」
スカーレルの前にウィルが立ちはだかった。
「約束だといったでしょう?それとも彼等の後見人であるあなたが掟破りを勧めると言うのですか?」
そしてご意見番の意見は無視。
「それ以前に戦いが終わってから一向に島から出ずにセンセと一緒にいたのはどこの誰!?
 今さら埃の中に埋もれきった約束掘り出すんじゃないわよ!」
「くっ……!こうなったら…」
彼のポケットから緑色のサモナイト石が現れた。ナックルキティの刻印が静かに光を放ち始める。
「…本性を出したわね」
かすかに、口端を歪ませる。これが彼の狙いだったのだから。
「センセ見なさい!目的のためなら手段を選ばない、これがウィルの本性よ!」
この二人をおとなしくさせるにはアティに現状を認識させるが最短。
あとは彼女の口から注意を促せばすべて事足りるのだ。

――さぁアティ!真実を見るのよ!

「なぁ先生。景色のいい航路と最短の航路、どっちがいい?」
「そうですねー…」
――カイル、またしても――――――っ!!
全然こっち見てない。作戦は読まれていた。
筋肉船長ならいざ知らず、頭脳派ウィルの参戦は予想外の戦力アップのようだった。
自分の後ろで親指を立てた拳を相手にかざし、健闘を称えあう二人が瞳に映る。
「――――――――っ!」
一瞬、目の前が真っ白に。

でも今、平静を失うわけにはいかない。
あくまで冷静に目的を達する。
そのために感情という名の龍を飼いならす鍛錬も積んできたのだ。
――今は航路を北東に戻す方が先だわ!
その刹那、
「ナックルキティ!」
ぽかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかっ

――もう、無理…

かわいい犬コロもどきの拳の弾幕にさらされながら、彼はそうつぶやいた……

ある大洋のど真ん中のある船上で、一匹の龍が荒れ狂った。
バックアタックで不愉快な委員会員たちを沈める。
操舵士のカイルには手加減を、特にいるだけの生徒には本気で。
もちろんその前にアティに席を外してもらったのは言うまでもない。
ソノラと本調子に戻ったヤードに連れていってもらったのだ。

そして一呼吸おいてカイルのみを叩き起こし、
今度こそ本当にアティの故郷へ着くように丁重に(ナイフで)お願いをした。
状況を理解した彼はすんなりと要求を受け入れてくれた。
船長は伊達ではなかったという事か、多少の頭は回ってくれる。
彼はひきつった顔のまま、船内へと引っ込んでいった。





甲板に一人たたずむ。


気づけばそこに夕闇の空。
輝けるそれは空も雲も磐石の如き海原も、自分さえも赤く染めて――――――
その色はこの胸に要らぬ喧騒を掻きたてる。

――でも、かまわない

すぐに終わるから。
かつて己を染めた色、それから自分は目をそらし続けてきた。
だけど今、それを正面から見つめる自分がいて…
それはちっぽけなこと。でも、自分にとってはそうじゃない。
こうなれたのはきっと………



陽は闇に消え、元の平穏。
夜の訪れである。


「んーっ!今晩の風は格別ですねっ!」
夕食後、船後方の甲板。眼前には大きく手を上げて背伸びをするアティがいた。
「確かに、涼むのにはもってこいね」
そう言うと、賛同者を得たのが嬉しかったのか彼女は顔をほころばせる。
そんな彼女を見て、自分にも自然と笑みが浮かんだ。

温かくもなく、冷たくもなく。
風はただ頬を撫でる。
思えば、夜、この場所で彼女と会うのは恒例となっていた。
この時間帯になると、みんなが気を利かせて前方の甲板にしか行かなくなるほどに。
……約二名はソノラとヤードに止められて、だが。

船べりに腰をかけ、一身に風を受ける少女。鮮やかなあの赤い髪も、
この月明かりのもとでは青くさえ見える。
その少女を左に見やり、自分も船べりに背を預ける。
「今日の夕食おいしかったですね〜 ソノラいつの間にあんなに上手になったのかな?」
「ふふっ、さっきヤードに聞いたんだけどね。
 あのコ、私達をお祝いするためにこっそりオウキーニに料理を教わってたんですって」
「えっ!?そうなんですか!…………なんか、うれしいですよね。そういうの」
「そうよね……」
同時に、気恥ずかしい気もしていた。
正直、そういうことをされる立場に立つとは思いもしなかったのだから。
自分は暗殺者。すでに抜けたといえどそれが真実。
だから誰かとともに歩むつもりなどなかった。
事実、自分はこの少女の隣にいることを拒み、自分の意思で去った。
だけど、その少女がいま隣にいる。

「スカーレル…?」
急に言葉少なになった自分が気になったのか、のぞき込むように視線を傾ける彼女。
目が、あった。
「……不思議だなって、思っていたのよ」
が、スカーレルはすぐに視線を外し、後方を見つめた。
船が、暗闇を置き去りに、そしてまた暗闇へと入っていくその光景。

……不思議だと思ったのは、
「私が、こうしてスカーレルの隣にいること、ですか?」
「え?」
また、目があった。
彼女が船べりに腰掛けているので、いつもと違い対等の位置にある双眸。
それは優しく自分を映していて――――
「スカーレル、三度目ですよ?その話」
くすりと、笑う。
「そ、そうだったかしら…」
よく考えてみれば、確かに数日前にも同じ話をしていた気がする。……しかもここで。

でも―――不思議で仕方なくて。
隣にいると言ってくれた彼女の言葉を信じていないわけじゃない。
ただ、以前と違いすぎることに未だに戸惑っているのだ、自分は。

そんな心中を知ってだろうか。アティはスカーレルの肩に体を預け、言った。
自分がこの話をするたびに彼女が言う言葉。
「私は、ここにいますよ……スカーレルの隣に、ずっと」
「……そうね…ありがとう、アティ…」
そう言える自分にも、まだ戸惑いを覚えてる。

そして、ふと――――空を仰ぐ。
季節は夏。
星々の大河が眼に飛び込んでくる。
アティもこの空に見惚れているのだろう。耳元で「きれい…」とつぶやく声が聞こえた。
そして彼は、この大空の中心で一際強い光彩を放つ星を見ていた。
船から遠ざかってゆく方角の空に浮かぶそれは―――
「……アティ、ごめんなさい。少し席を外すわね…」
「は、はい……どう」
したんですか?とは聞けなかった。
もうそこに、彼の姿はなかったのだから。


「…カイル、やってくれたわね………」
全速力で走りながら、静かに、しかし怒りのこもった声でつぶやく。
階段を降り、廊下を突っ切り、船長室のドアをこじ開け、その奥の操舵室へ一気に突入!
「ス、スカーレル!?」
「カイル!今すぐ船の向きを変えなさい!!」
彼の見た星。それは北という方角を知るための基点となるあの星。
現在北東に向かっている船が遠ざかる方向に、その星が浮かんでいるものか。
――船が真逆に進まない限りありえないのだ!
「ちっ…もう気づきやがったか!」
「アンタ、いいかげん往生際が悪いわよ!」
「やっかましいっ!!オレにも意地ってモンがあらぁっ!」
舵を背に、拳を構えるカイル。
「……アタシにもガマンの限界ってものがあるわ…」
静かに、ナイフを握るスカーレル。
っつーか、アンタ昼間もう限界きてたんじゃ?。
「行くわよ……」
地を蹴り、一足飛びでカイルの懐にもぐりこむ。
「…っ!」
ナイフを左から横に一閃。

パキィィンッ!!

が、左の鉄甲によって刀身が砕け散る。
「しまっ…!」
「くらえ!一撃っ!!!」
背中をいやな汗が伝った。とっさに身を翻すも間に合いそうも――
「必殺!!」
「カイルさん、ちょっとよろしいですか?」
ヤードが開け放したドアから現れる。
「げっ!ヤード!?」
ああ、無情。車は急には止まれない。

どごぉぉぉぉんっ!!!
「え?あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………」



ひゅー………



どんがらがっしゃん!

どうも直線通路をはさんだ向こうの壁に激突の模様。
「何…?…え?うわ!どしたのヤード!?」
運良く自室から出てきたソノラに早期発見。
事故の際には初期にどれだけ適切な治療を行えたかが成否を分ける。
って、ソノラ回復使えねぇ。
「せ、せんせーっ!!お願い早く来てーッ!」
「…どうしたのソノラ?……ってきゃーっ!ヤードさん!?」
……何が起きてるというのか、ヤードの身に。

一方、操舵室の二人。
「…………………」
「…………………」
言えるわきゃないよね?自分たちがやったなんて

とか何とかしてるうちにプラーマの詠唱が終了。
「………うっ……」
「ヤードさん!?大丈夫ですか?ヤードさんッ!!」
「ヤード大丈夫!?」
「…………ク…」
「く?」
「クララが立った…」
だめだ。手の施しようがない。
とりあえず最後だけは自室で迎えさせようとでも思ったか、
二人はなんとか彼を運んでいった。

一方、操舵室の二人。
「……………………」
「……………………」
この沈黙には哀悼の意が込められているかもしれない。
まぁ、冗談のようなホントの光景はさておいて。
「な、何てことしてくれるのよカイル!」
「お、お前が避けるからだろーがっ!」
「た、た、確かに槍から攻撃された時、アタシが避けてその後ろの人に当たっちゃう時はあるけど
 アタシは身を守っただけよ!?それで犯人扱いされちゃたまらないわよ!
 第一、アンタが航路をたばからなきゃこんな事にはならなかったのよ!」
「ぐぬぬぬぬぬっ!こ、このっ…!」
ついにキレたカイルが殴りかか…れなかった。
「あ……レ…」
勢いあまって倒れこみ、そのままピクリとも動かなくなる。
「悪いわねカイル…痺れ薬を使わせてもらったわ…」
「い、いつのまに……」
「口論中アナタが大口開けた時に指ではじいて入れさせてもらったわ」
「く…っ!くそっ…た、れ……」
「これ以上、予定を変更させるわけにはいかないのよ」
スカーレルは勝利を確信した。その時―――


ドガァァァァァァァンッ!!!!!


船後方より、鼓膜を突き破るような爆音が響いた。
「な、なに!?」
わからないこの状況下。一つ確かなものを聞いた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「!!」
アティの悲鳴。
スカーレルは部屋を飛び出し、……我が目を疑った。

通路の奥が吹き飛び、炎が盛っている。

「どうなってるのコレは!?」
「あ、スカーレル!」
「センセ無事!?ソノラも……ヤード、は違うみたいだけど」
二人に引きずられてはいるが、確かに三人とも無事。
「…一人、いないわね…」
つまり、この惨事はソイツが……
「僕ならここにいますよ?」
「ウィル…」
「何事です?前方の甲板にいたらいきなり爆音が…」
首を横に振るしかなかった。
「!ねぇ、スカーレル火の中にだれかいるよ!!」
ソノラの声に全員がそこへ注目する。

確かにいる…
揺らぐ炎の中、小さな黒い影がこっちへ……
「パナシェ君!?」
「こんばんは、先生」
船が大きく傾く。浸水が始まった。
「ちょっと!これはアナタの仕業なの!?」
「うん…ユクレス様がそうしろって」
「アンタ頭にナニ埋め込んでるのよっ!」
彼らをよそにウィルは後ろでまだ少ししびれの残るカイルに言った。
「上手くいきましたね」
「は!?お前パナシェに何かしたのか!?」
「ええ、彼は毎朝ユクレスの木にお祈りをする習性があるんです。
 そいつを利用させてもらったんですよ。
 今朝ユクレスの木にテコを忍ばせて催眠術を少々」
だからいなかったのかテコッ。つーか少々で大々的に船が吹っ飛んでいる。
「だ、だ、だ、だからってオレの船を吹き飛ばすんじゃねーっ!」

がたんっ!
船の傾きが大きくなる。
「全員、前方の甲板まで急いで!」


船は、結局沈んでしまった。
彼らは海へ飛びこみ、浮いている木片につかまって海を漂っていた。
「あ!スカーレル見てください!灯りですよ!!」
自分と同じ木片につかまっている彼女が嬉々とした声で叫ぶ。
「…………そうね、灯りね」
確かに灯りだ。
具体的に言うと、青、赤、紫、緑の光と来たもんだ。
「……………………」
「戻ってきたわねぇ……」
ちょっぴり、泣きたくなった。
「あ、あ、でも結構楽しい船旅でしたよね!」
「そうね……そうかもね」

見上げればそこに、あの星空。
それは変わらずそこにあって―――――

「そうとでも思ってなくちゃ、救いがないものねぇ…」
「………………」
アティは否定しなかった。






END

 

 

□□□□□□□□

一万ヒット記念に、我が親友防波堤より賜りました〜(^^)
彼女の話のテンポのよさと、ギャグのセンスには完敗です……ってかヤードの不幸っぷりに涙が…
カイルはいくら壊れようと、良いんですけどね!!(鬼)
アティが可愛い〜可愛い〜vvスカーレルはカッコ良いし♪そうまさに【愛】連打っ!!!
槍を見事に避け、後ろに人間に当たるのは「真理」ですヨ!!!
でも、船無くなったの、どうするんですかね?
ラトリクスで再開発?
なんか、戻ってきた時の護人ズの反応が見てみたいですなw

防波堤、本当にありがと〜〜〜〜vvv

 

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