響くは甲高い金属音

交錯するは二対の刃

鋭利なそれらは、命を奪うための凶器
何度と無くそれを振るう

互いの首をかっ斬るように
互いの命が疎ましいというかように


話を聞きに来たのだ
中国も家康に奇襲を受けたと聞き、停戦に付いて
毛利がどう思っているのかを

それだけのはずだった
なのに自分達は互いを目にすれば武器を合わせずにはいられない

何合目の打ち合いの果て
焔を纏わせた碇槍を連撃のさなか横殴りに繰り出せば
輪刀で防ぎつつも勢いは殺し切れなかったのだろう、体勢までは崩さずともスザザと元就は滑る

互いの間合い以上の距離

そのお陰でようやっと元親は口を開く

「俺は、アンタと話がしたいんだ」
「……分かっている。書を出したのは我ぞ」

互いに武器は下げない
二人の間に流れる空気は今だ戦闘中と変わらなかった

「だよな…で、停戦の話は本気なのか」
「お互いに今はそのような事をしている暇はなかろう?」

感情を感じさせない声音に元親は微かに眉を寄せる

ほんとに血の通った人間かよ……コイツは

こうやって顔を合わせたのは久しぶりだが
変わらず
眼差しはただ冷たく
整った顔には、温度すら感じ取れない
自身の造るカラクリの方が、ずっと人間味を持っている気がする

思いが何処にあるのか分からない男を信じる事に元親は今だ躊躇っていた
それを感じたのだろう

「……信じられないか?」
微かに輪刀を下ろし元就は問うた

「まあ、そうだな」
「………」
素直にそう答えても
不愉快さすら滲ませない

それが何故だか腹立たしくて、再び碇槍を叩き付けたくなるのを
どうにか堪え元親は溜め息を吐いた

野郎共の敵をとるためには、そんな理由の分からない苛立ちにかかずらっている暇はない
確かに、この智将の言う通りなのだ
認めたくなどないが

「……ちっ…」
智将を見ていれば苛立たしさは増すばかりなのは分かっていたから
碇槍を下ろし元親は視線を海に移した

数え切れぬほどの
仲間の命を飲み込んだはずの海はそれでも青い

その青に

やっとの事で少しばかりの落ち着きを取り戻す

「……分かった、停戦を受けよう」
「……そうか」

とつ…とした返答ですら気に障る

だから言わずにはいられなかった

「だが、家康の件が終われば次はお前だ」

碇槍を突き付け、今一度真っ直ぐに智将を見る
「所詮、俺達は敵同士。馴れ合う気はねえ」
「………よかろう」

そこで初めて
元就は緩やかに笑んだ
何も映さない空虚な色を浮かべながら

ああ

本当に苛々する

コイツの全てが腹立たしい

ザワザワと湧き上がる苛立ちをごまかすために早々に背を向けた

真っ直ぐに見る事すら出来ない
向こうも恐らく自分を見てなどいない

考え方も

思いも

全てが重ならず

互いを確かに視界に映すのは、武器を向けるその時だけ

何時となく戦い続けても
それは変わらずに横たわる事実だ

「…俺が、アイツを倒す」
きっとそれを成すまで
この理由のない憤りはなくならないだろう

この戦乱の世、非道なヤツは今までにも何人もいた

そんな中どうしてあの智将相手にだけ、こうも自分はこだわるのか

分からないままに

元親は目を閉じた


END


□□□□□□□
元親赤ルートで毛利さんに会いに行った時
元親+元就ってところ
バサラ3の瀬戸内は、互いを特別視しながら
その理由を見つけられない二人な感じ
戦う事でしか向かい合えないって、それはそれで素敵かもしれない

 


 

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